Microsoft Accessは、業務システムとして今も多くの企業に導入されています。
特に中小企業にとっては、低コストかつ使い慣れた環境で運用できるという大きなメリットがあります。
一方で、「Accessは時代遅れ」「クラウドに移行すべき」といった声も増えてきました。
実際のところ、Accessをこのまま使い続けるべきか、それとも他のシステムに移行すべきか、判断に迷う方も多いのではないでしょうか。
Accessを使い続けるメリットとは?
Accessは、シンプルな構成と使いやすさが強みです。
特に小規模な業務システムとしては、今でも十分に力を発揮します。
- 導入・運用コストを抑えられる
専用の開発ツールや大規模なインフラを必要とせず、既存のOffice環境で構築・運用できるため、開発費・維持費の負担が比較的少なく済みます。
- 社内でカスタマイズできる柔軟さ
プログラミングに詳しくなくても、フォームやクエリを使って画面や処理を調整できるため、ちょっとした修正は社内で対応可能です。
- ローカル環境で安定稼働
Accessは単体でもスムーズに動作するため、ネットワークの負荷をかけずにPC1台からでも業務システムを構築できます。
Accessから別システムへの移行を検討すべきケース
もちろん、Accessにも限界があります。
以下のような課題がある場合は、別の仕組みへの移行を検討するタイミングかもしれません。
- データ容量の制限に直面している
Accessのデータベースには約2GBという上限があります。データ件数が増え処理が遅くなると、SQL Serverなどより大容量に対応できるデータベースへの移行が現実的になります。
- 複数拠点・在宅勤務での利用が必要
Accessは基本的にローカルでの利用が前提です。遠隔地からのアクセスや複数拠点での運用には不向きなため、クラウド型のシステムに移行するほうが効率的です。
- 情報セキュリティに懸念がある
AccessファイルはPC内や社内サーバーに保存されることが多く、適切なバックアップやアクセス制御がされていないケースもあります。機密性の高いデータを扱う場合は、より堅牢なデータ管理環境が求められます。
Accessを快適に使い続けるための工夫
すぐに全面的なシステム移行をする必要がない場合でも、Accessの使い方を見直すことで、より快適で安全な運用が可能になります。
- データと画面を分けて運用する
テーブルデータはSQL Serverなどの外部データベースに保存し、Accessは操作画面(フロントエンド)として使うことで、データ量の増加にも対応しやすくなります。
- 手作業を自動化する
繰り返し作業は、VBAやマクロを活用することで自動化が可能です。人的ミスの防止や作業時間の短縮につながります。
- クラウド連携で利便性アップ
Microsoft 365を導入している場合、SharePointと組み合わせたり、Power Automateを利用したりすることで、Accessの可能性を大きく広げることができます。
最適な判断をするために
Accessシステムを使い続けるか、新たな仕組みに切り替えるか――
どちらが正解かは、会社の規模や業務内容、将来の運用方針によって変わってきます。
まずは、今の課題や将来的な展望を整理し、自社にとって最適な選択をすることが重要です。
「Accessはもう使えない」と決めつけるのではなく、うまく活かす方法も含めて検討してみてはいかがでしょうか。